人手不足を救う!BIM/CIM×教育体制の最前線と課題

建設業界では深刻な人材不足が続いています。
国土交通省の統計によれば、建設業従事者の約35%が55歳以上、29歳以下はわずか11%という状況で、若手技術者の確保と育成が急務となっています。
一方で、BIM/CIMやICT施工などのデジタル技術の導入が進み、“人手不足を技術で補う”時代が現実になりつつあります。
ただし、技術だけを導入しても、それを扱える人材=“デジタル施工の担い手”がいなければ効果は半減します。
この記事では、BIM/CIMと教育を結びつけた現場教育・学校教育・業界支援の最前線と課題、そしてその未来への処方箋について解説します。
建設業の人手不足と構造的課題
建設業界における人手不足は、単なる一時的な問題ではなく、構造的な課題が挙げられます。
以下のような要因が複合的に重なっています。
- 高齢化の進行:ベテラン技術者の大量離職と技術継承の困難化
- 若年層の業界離れ:長時間労働や危険作業へのイメージによる敬遠
- アナログ管理の非効率性:若手が定着しにくい職場環境
さらに、建設現場の生産性の低さは、産業全体の生産性向上を妨げている要因の一つとも言われています。
現代の課題:「人を増やす」のではなく、「人が少なくても回る仕組み」を作ること。
その鍵を握るのが、BIM/CIMやICTなどのデジタル技術×人材教育の融合です。
なぜBIM/CIMが人材不足対策になるのか?
BIM/CIM技術は、設計から施工、維持管理に至るすべての工程において、作業の効率化・見える化・自動化を可能にするツールです。
BIM/CIMが人材不足に効く理由
項目 |
内容 |
自動化による作業時間削減 |
干渉チェックや数量拾いが自動化され、熟練者の属人化を排除 |
情報の可視化 |
3Dモデルで直感的に理解でき、若手や未経験者でも現場を把握しやすい |
遠隔共有 |
モデルを介して関係者間の情報伝達をスムーズに(現場⇄事務所) |
設計と施工の融合 |
データが一貫して流れ、調整・再作業のロスが減る |
“技術者の負担を減らし、スキルの幅を広げる”=BIM/CIMは人手不足を“緩和”する技術です。
BIM/CIM教育の現状と体系化の動き
これまで、BIM/CIMの教育は「OJT中心」「実務経験者による独自教育」に偏っており、体系だった教育カリキュラムが少ないという問題がありました。
しかし、近年では国交省や業界団体を中心に、人材育成の指針や体系の整備が進みつつあります。
教育制度の整備例(2025年時点)
主体 |
教育内容 |
特徴 |
国土交通省 |
BIM/CIMリテラシー講座、動画教材配信 |
無料で初学者にも配慮された構成 |
建設系業界団体 |
モデル作成・属性付与の実践講座 |
技術者向け、ソフト別対応もあり |
専門学校・高専 |
授業にRevit、CIMソフト導入 |
学生時代からCIMスキルを育成 |
実務現場で求められるスキルとは?BIM/CIMを扱ううえで、特定のソフトが使えることも重要ですが、より大切なのは“データを運用するための実務理解”です。実務で求められるスキルセット
- 3Dモデリングスキル:Revit, Civil3D, Navisworks, SketchUpなど
- ファイルフォーマットの理解:IFC, LandXML, J-LandXMLなど
- 属性情報の整備・管理:Excel連携、CSV編集、属性入力規則の理解
- BEP(BIM実行計画書)の読解と作成
- ICT建機・電子納品との連携知識
新しい技術を初めて取り組むことに抵抗がある中で、積極的に挑戦する姿勢が結果として実務を通してスキルがついていくことになるのです。
教育の現場:高専・大学・研修機関の最新動向教育機関でも、BIM/CIMを中心としたデジタル施工教育の取り組みが拡大しています。教育現場での取り組み例
- 国立高専:土木科でCIM演習を導入(点群データ取得〜モデル作成)
- 工学部建設系大学:3D設計・施工連携演習にRevitやInfraWorksを活用
- 民間研修機関:週末講座・eラーニングなど柔軟な研修メニューを提供
このように、“学校→実務”の移行がスムーズになるような環境整備が進みつつあります。
実務導入企業が抱える教育課題と対策例企業側の多くは、以下のような教育に関する課題を抱えています。よくある課題とその対応策
課題 |
対策のヒント |
教える人材が社内にいない |
外部パートナーと連携し、教育パッケージを導入 |
教育コストが高い |
業務と教育を同時に進める「実務OJT+簡易マニュアル」を活用 |
スキルの標準化が難しい |
BEP作成支援・テンプレート共有による教育の均質化 |
忙しくて時間が取れない |
eラーニング+Web講習などの柔軟な受講形式を導入 |
BIM/CIMは、「人の不足を補う技術」であると同時に、「人を育てるためのきっかけ」でもあります。
技術導入と教育の両輪を回すことで、初めて真の生産性向上が実現できます。
今後の鍵は次の3点に集約されます。
- 教育を計画的に仕組み化すること(OJT依存からの脱却)
- 学校・企業・外部機関が連携した多層的な教育体制を構築すること
BIM/CIMを学ぶことが「若者に選ばれる業界づくり」につながると認識すること
採用や教育は、時間やコストがかかること、離職のリスクを常に抱えていることなど、多くの壁は事実存在しますが、
今後の建設業界で活躍する人材育成や体制づくりに若者はかかせません。
しかしいきなり若い技術者を採用しても、BIM/CIMといった技術を習得出来るわけではないため、
まずは会社として部署として1案件として試験的にも取り組み始めることが重要です。
実務を通じてBIM/CIM等を学ぶサポートを株式会社リビックはサポートさせていただきます。
お気軽にご相談下さい。
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