BIM/CIMを外注する方法やメリット・デメリット、料金相場について解説

BIM/CIMの導入が進む中、社内に専門人材が不足している、あるいは業務負荷の増大から「外注」という選択肢を検討する建設業の企業が目立ちます。
特に、技術部門の担当者にとっては、信頼できる外注先の選定基準や料金相場、外注のメリット・デメリットなど、事前に把握しておくべきポイントが多数、存在します。
業務効率化や生産性向上においても、外注は有効な手段の一つですが、導入判断は慎重に行う必要があります。
そこでこの記事では、BIM/CIM業務の外注方法や依頼先の特徴、費用感、注意点などを解説いたします。
外注を検討する際の判断材料として、ぜひお役立てください。
BIM/CIMを外注する方法
社内に専門スキルを持つ技術者が不足している建設業にとって、BIM/CIM業務の外注は、業務の質を保ちつつリソースを効率的に使うための重要な手段となります。
ここでは、主な外注先として想定される「請負業者」と「フリーランス」の2つの形態について、それぞれの特徴や活用ポイントを解説します。
請負業者
設計事務所やBIM/CIM専門企業といった請負業者は、建設業界に特化しており、豊富なプロジェクト実績とノウハウを持っています。比較的、大規模な案件にも柔軟に対応できる体制を整えています。
請負業者の特徴と強み
組織として複数の技術者が在籍しており、工程管理や品質管理が安定しているのが特徴です。
3Dモデリングから干渉チェック、数量算出、維持管理向けのモデル構築まで、幅広い工程に対応可能してもらえます。
また、納期や成果物品質に対する保証体制が整っているケースが多いといえます。
請負業者の活用ポイント
公共事業などで精度や信頼性が求められるプロジェクトには、特に有効です。
複数部門との連携が必要な場合や、長期的な外注関係を構築したい場合にも適しています。
フリーランス
近年では、BIMやCIMに特化したスキルを持つフリーランスのエンジニアも存在します。
フリーランスは比較的、スピード感や柔軟な対応に長けているため、中小規模の案件や、限定的な業務の切り出しなどには、特に有用でしょう。
フリーランスの特徴と強み
単価が比較的安価で、短期・単発の業務委託にも対応しやすい点が、フリーランスの特徴です。
また、オンラインベースでのやり取りが中心のため、全国の幅広い範囲で委託先を探すことができます。
特定の専門領域に長けた技術者を直接選定できるため、目的に合った納品物を得やすいといえるでしょう。
フリーランスの活用ポイント
一定の品質を保つためには、依頼先の実績やポートフォリオの確認が必須となります。
また、作業範囲や納期、納品形式などの条件を明確にした上で契約することが重要です。
請負業者とフリーランスのいずれを選ぶかは、プロジェクトの規模や求める成果の内容、社内体制によって異なります。
自社の目的に合致した外注先を選定することで、BIM/CIMの導入効果を最大化することができます。
BIM/CIMを外注する際の料金相場
BIM/CIMの外注を検討する際、多くの企業担当者が最も気にするポイントの一つが「料金相場」です。
プロジェクトの規模や内容、依頼先のスキルレベルによって費用は大きく異なりますが、30万円~が平均的な料金相場になります。
スピード納品や高い精度を求める場合は、若干金額の変動は起こり得ます。
特に、金額の差が出やすいのは「詳細度300」なのか「詳細度400」なのかという違いで、公共工事業務案件で要求される事項によっては「詳細度400」である必要があるため、留意が必要です。
ここでは、請負業者とフリーランスに分けて、それぞれの料金相場と傾向について解説します。
請負業者
請負業者にBIM/CIM業務を依頼する場合、作業範囲が明確であり、納品物の品質・スケジュール管理も組織的に行われるため、比較的、高額になる傾向があります。
【おおよその相場感】
- 小規模プロジェクト(3Dモデリングのみ):20~50万円前後
- 中規模(モデリング+干渉チェックや数量拾いなど):50~150万円
- 大規模案件(施工段階までの包括的支援):200~500万円以上
価格は業者の得意分野や地域性にも左右されるため、複数社から見積もりを取得して比較することが大切です。
フリーランス
フリーランスへの外注は、比較的安価で柔軟な対応が可能な点が魅力ですが、品質や納期のばらつきには注意が必要です。
【おおよその相場感】
- 基本的なBIMモデリング(1案件):10~15万円程度
- 詳細モデル(構造・設備を含む):20~50万円
フリーランスの場合は、業務内容を明確にし、成果物の品質や納期管理を文書化することでトラブル回避につながります。
BIM/CIMを外注するメリット・デメリット
BIM/CIMを自社で導入・運用するには専門的な知識と技術が必要であり、それを外部に委託することで得られる利点も多くあります。
一方で、外注にはリスクも伴うため、注意点が必要です。この章では、外注の「メリット」と「デメリット」を整理し、発注側が留意すべきポイントを解説します。
BIM/CIMを外注するメリット
まずは、メリットから見ていきましょう。
専門スキルを即座に活用できる
BIM/CIMに精通した技術者を社内で確保するのは難しいのが現実です。
外注であれば、即戦力として専門技術を持つプロフェッショナルに業務を依頼でき、導入の初期段階から高度な成果物を得ることが可能です。
教育・研修コストが不要
社内に知識がない状態でBIM/CIMを内製化しようとすると、ソフトウェアの習得や実務への応用、周辺機器の整備など、多くの教育コストが発生します。
一方、外注すればこれらの育成コストを抑えることができ、スピーディに業務を進めることができます。
リソースの最適配分が可能
自社の人員をほかの重要業務に集中させることができるため、業務効率の向上や残業削減といった働き方改革の実現にもつながります。
繁忙期の一時的な業務補完としても有効です。
最新ツールやノウハウを活用できる
外注先はBIM/CIMに関する最新技術やツールに常にアップデートされていることが多く、その知見を取り入れることで、自社のプロジェクト品質を底上げできます。
BIM/CIMを外注するデメリット
一方、BIM/CIMを外注することによるデメリットも考えられます。
意思疎通が難しい
外注先とのやりとりは、社内業務に比べてどうしてもコミュニケーションにタイムラグが生じやすく、細かい仕様変更や意図の伝達に齟齬が起こる可能性があります。
そのため、プロジェクトの進行や成果物に支障をきたすケースもあります。
社内にBIM/CIMのノウハウを蓄積できない
BIM/CIM業務を外注すると、社内にノウハウが蓄積されにくく、継続的な外注費が発生するためコスト削減が難しくなります。
また、自社で設計の干渉チェックや施工シミュレーションができないため、手戻りや設計変更のリスクが高まり、結果的に品質低下を招く可能性もあるでしょう。
コスト管理が難しい場合も
成果物の修正対応や納期遅延によって、当初予定していたコストを上回るケースもあります。
契約時に成果物の定義や納期、追加費用の条件を明確にしておくことが重要です。
セキュリティや情報管理への配慮が必要
建設プロジェクトには機密性の高い情報が含まれるため、外注先の情報管理体制の確認と、NDA(秘密保持契約)などの締結は不可欠です。
まとめ
BIMやCIMの導入は、建設業界における生産性の向上や品質管理の高度化に寄与するだけでなく、国土交通省の方針に沿った業務推進にも不可欠となってきました。
しかし、社内での専門人材の不足やリソース制約により、自社のみでの対応が難しいと感じている企業も少なくありません。
そうした背景の中、「外注」は非常に有効な選択肢となります。請負業者やフリーランスといった外注先にはそれぞれの特性があり、コストや業務品質、納期対応力などを比較検討しながら、自社に合ったパートナーを選ぶことが重要です。
外注のメリットとしては、即戦力の確保、教育コストの削減、リソース最適化などが挙げられますが、同時に「契約条件の明確化」や「コミュニケーション体制の整備」など、注意すべき点も存在します。
外注を成功させるポイントは、「発注側が目的や要件を明確にすること」と「外注先との信頼関係を築くこと」にあります。
BIM/CIMという高度な業務をパートナーと共に進めることで、自社の競争力を一段と高めていくことが可能です。
株式会社リビックでは、BIM/CIMの導入・活用支援サービスを提供しており、2D図面から3Dモデルを作成するモデリングを中心に、実施計画書・報告書作成支援などお客様の多様なBIM/CIMニーズに柔軟に対応いたします。
また、お見積もり時、実際の作業時に必要な情報は、すべて事前にお伝えしますので、スムーズにご依頼いただけます。
BIM/CIMの外注先をお探しのご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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