国交省i-Construction 2.0対応:BIM/CIMの最新動向

国土交通省が推進するi-Construction 2.0は、土木・建設業界におけるDXの核となる戦略です。従来のICT施工を発展させ、「施工の自動化」や「工程間データの連携」によって、生産性の抜本的な向上と人手不足の解消を狙います。
この記事では、i-Construction 2.0の最新動向から、施工の自動化・データ統合・CIMモデルの活用までを、実務者向けに網羅的に解説します。「これから対応したいけど、何をどこから始めればいいかわからない」という技術者や企業の皆様に、“i-Construction 2.0の全体像”と“次の一手”を提案するガイドです。
参考:出典 国土交通省
i-Construction 2.0 ~建設現場のオートメーション化~
https://www.mlit.go.jp/tec/constplan/content/001738240.pdf
- 1. i-Construction 2.0とは何か?進化した背景と目的
- 2. 施工のオートメーション化:ICT建機とスマート施工の現在地
- 3. データ連携の核:3次元設計データの活用と重要性
- 4. 各工程のデジタル化:設計・施工・検査がつながる仕組み
- 5. BIM/CIMとの連携強化:統合型情報管理の実践
- 6. i-Construction 2.0導入に向けた現場の課題と支援策
- 7. まとめ:建設DXの未来へ向けて、今できること
1. i-Construction 2.0とは何か?進化した背景と目的
i-Construction 2.0は、従来のICT施工の枠を超え、「全体最適」「工程間連携」「自動化」の3本柱を中心に再構築された建設生産システムの次世代モデルです。
測量→設計→施工→検査→維持管理の全てを3次元データで一貫管理し、全体最適化を実現することが目的です。
背景には、深刻な人材不足と高齢化、気候変動による災害頻発への対応の必要性があります。
データのリアルタイム活用や自動施工、モデルベースマネジメントを通じて、従来の属人化・アナログ作業の限界を乗り越える構想です。
2. 施工のオートメーション化:ICT建機とスマート施工の現在地
i-Constructionの特徴の一つがICT建機を用いた施工オートメーションです。GNSS(衛星測位)やIMU(慣性センサ)を搭載した建機は、設計データを読み込み自動制御され、オペレータの操作を補助・代替します。
活用例:
- ブルドーザー:設計面に沿った自動整地
- 油圧ショベル:掘削深さを自動調整
- ローラー:転圧ログを自動記録し、品質保証に活用
項目 | 従来施工 | ICT施工(i-Construction 2.0) |
---|---|---|
測量 | 人力・光波測量 | ドローン・地上型レーザーによる点群計測 |
建機操作 | 熟練技術者依存 | 3Dデータ連動で半自動施工 |
品質記録 | 手書き・写真管理 | 自動記録・クラウド共有 |
進捗管理 | 目視・日報 | 3Dモデル連動の進捗管理 |
3. データ連携の核:3次元設計データの活用と重要性
i-Construction 2.0では、正確な3次元設計データの整備が不可欠です。ICT建機の制御基準であり、施工中の進捗・出来形管理・検査・納品にも直結する“現場の基準点”となります。
特にBIM/CIM対応の公共工事では、「LandXML」「J-LandXML」「IFC」形式など、機械と人・モデルが連携できる形式での設計出力が必須です。
予めどういったデータ形式が求められているのかを確認・理解した上で作成していくことで、手戻りを防ぐことが可能です。
特に各データ形式について何がどう違うのかを事前に理解しておくことで取り掛かるスピードも上がります。
関連記事:LandXMLとJ-LandXMLの違いと活用の方向性について
4. 各工程のデジタル化:設計・施工・検査がつながる仕組み
工程間のデータ断絶をなくすことが重要です。
設計データがそのままICT建機で使われ、施工後には出来形確認や検査用の記録として再利用されます。
【工程連携の流れ】
- [設計] → [3次元設計データ作成]
- ↓
- [施工] ← ICT建機で自動施工・出来形ログ記録
- ↓
- [検査] ← モデルで出来形自動照合・品質確認(現場へ赴かずに実施)
- ↓
- [納品] ← データを電子納品フォーマットに変換、規則通りの名称/フォルダ構成にて納品
5. BIM/CIMとの連携強化:統合型情報管理の実践
BIM/CIMモデルを施工段階から活用することで、4D施工計画の可視化、干渉チェック、出来形自動検査、維持管理BIMとの連動が可能です。
フェーズ | 利用目的 | モデル活用内容 |
---|---|---|
設計 | 合意形成、施工性検討 | 3Dモデル/4Dステップでのシミュレーション、 干渉チェック |
施工 | 自動化、品質管理 | ICT建機連携、出来形検査 |
維持管理 | 点検、更新 | FM属性付きモデル活用 |
目的によって活用するモデルの種々が異なります。
例えば設計/施工段階で活用したモデルを維持管理で活用すると、詳細度が高い(=容量が大きい)ことで扱いづらいデータとなってしまう恐れがあります。
維持管理に必要なデータのみを残し、他は削除するか、もしくは軽量化することで維持管理モデルとしても活用しやすいモデルになります。
関連記事:BIM/CIMモデルの軽量化・効率化テクニック
6. i-Construction 2.0導入に向けた現場の課題と支援策
主な課題:
- 設計データが3次元化されていない、または形式が合わない
- ICT建機はあるがデータを流し込めない(フォーマット不一致)
- モデル作成の外注先が見つからない・品質が不安
- 現場スタッフのスキルにばらつきがある
これらの課題を解決するには、“全体を見据えたパートナー選び”と、データと現場をつなぐ技術サポートが不可欠です。
リビックでは以下の支援を行っています:
- 3次元設計データ(LandXML/J-LandXML/IFC)の作成
- 公共工事/業務におけるBIM/CIMモデル作成
- 4Dステップアニメーション作成
- 点群データ取得・点群処理・ビューア納品
「施工DXに初めて取り組む企業」や「外注先に迷っている発注者」のご相談も承ります。
7. まとめ:建設DXの未来へ向けて、今できること
i-Construction 2.0は、単なる“技術導入”ではなく、建設業そのものの生産プロセスを変える変革です。
業務が初めから最後までひとつに“つながる”ことで、ミス・ロスを減らし、人材不足を補完しながら、持続的な社会インフラの構築が可能になります。
今後対応が求められる点
- 正確な3次元設計データの整備(LandXML/J-LandXML)
- BIM/CIMモデルを活用した“現場データの資産化”
- 工程間をつなぐデータ整備と実行フローの明確化
提供サービスの詳細は、下記のページにて紹介しております。
BIMサービス
https://livic-eng.com/service/bim/
CIMサービス
https://livic-eng.com/service/cim/
3Dスキャンサービス
https://livic-eng.com/service/3d-scan/
また、リビックの提供サービスをまとめた紹介資料もご用意しておりますので、ぜひ一度ご覧ください。
資料はこちらのページよりダウンロードできます。