BIM/CIMモデルの軽量化・効率化テクニック

BIM/CIMモデルは設計・施工・維持管理の各フェーズで非常に有効ですが、詳細度の高いモデルはデータ量が膨大になり、作業効率を低下させる原因になります。
本記事では、モデルの軽量化や効率化を目的にしたテクニックを解説し、具体的なツールや実務的ポイントを交えて紹介します。
- 1. モデル軽量化の必要性と目的
- 2. 不要データの削除と整理
- 3. LODの最適化
- 4. ファイル形式とリンク活用による効率化
- 5. 点群データの整理・軽量化テクニック
- 6. クラウドや外部委託を活用した作業効率向上
- 7. まとめ
1. モデル軽量化の必要性と目的
BIM/CIMモデルは精度を高めるほどデータ量が増加し、作業効率に影響を与えます。特にRevitやCivil3DなどのBIM/CIMソフトでは、部材数やリンクデータの増加で開閉やレンダリングに時間がかかる場合があります。軽量化は単なるファイルサイズの削減だけでなく、設計者・施工管理者・維持管理者が効率的にモデルを活用できる環境を整えることが目的です。
効率化により干渉チェックや数量算出、維持管理BIMへのデータ活用もスムーズになります。
2. 不要データの削除と整理
軽量化の第一歩はモデル内の不要データの整理です。Revitではワークセットやビュー範囲を活用し、表示不要な部材を非表示または削除できます。
Civil3Dでは、不要な線形やサーフェスを整理してモデルの軽量化が可能です。点群データやスキャンデータも、使用しない領域は切り出すことでBIMへの取り込み負荷を減らせます。
Archicadでは「モジュール分割」により不要部分を別ファイルにして作業効率を向上させることができます。
整理方法 | 対象データ | 効果 |
---|---|---|
部材削除 | 非構造部材、装飾部品 | モデル軽量化、操作速度向上 |
重複データ整理 | 参照モデルや点群重複 | 同期・レンダリング効率改善 |
不要レイヤ非表示 | 解析不要のレイヤ | 作業効率向上、視認性改善 |
3. LODの最適化
LOD(Level of Detail)は部材やモデルの詳細度を段階的に設定する手法です。
Revitでは、ビューごとにLODを設定して詳細モデルと粗モデルを切り替え可能です。
Civil3Dでは地形サーフェスや構造物を用途に応じて簡略化し、干渉チェックや数量算出の効率化を図れます。
維持管理BIMではArchicadやNavisworksを用いて、必要最小限のLODで設備や部材を認識可能なモデルに抑えることが、データ軽量化と解析効率向上に直結します。
各モデルの”目的”に合わせてLODを最適化していくことが軽量化にもつながり、結果として扱いやすいモデルが完成します。
見た目に拘りたいという想いでLODを高めてしまうと、データ容量増加の引き金となるため事前に入念な打ち合わせ等を行うことを推奨します。
BIMやCIMの醍醐味として、3次元化されることで見栄えが良くなり第三者であってもわかりやすいという利点がありますが、
あくまでもBIM/CIMは”手段”であるため、見栄えに惑わされず目的に沿ったモデリングを行う必要があります。
4. ファイル形式とリンク活用による効率化
大規模モデルは分割とリンク活用が重要です。Revitではリンク機能で大型建物モデルを複数ファイルに分け、必要部分のみ開くことが可能です。
Civil3Dでも参照線形をリンクで扱い、解析や干渉チェックの負荷を低減できます。
また、IFCやNavisworksのNWC形式など軽量ビュー形式を活用することで、他部署へのデータ共有がスムーズになります。
ビュー設定やワークセット管理も効率化に大きく寄与します。
5. 点群データの整理・軽量化テクニック
点群データは高精度ですが、取り込み前に整理することが不可欠です。
FARO SceneやLeica Cycloneなど専用ソフトで不要点やノイズ点を除去し、取得密度を調整することで負荷を低減できます。
また、点群からメッシュ化してOBJやFBX形式に変換することで、RevitやArchicadに統合可能な軽量モデルを作成できます。
現場用途に応じて広域は粗密度、重要部位は高密度で取得するのが効率化のポイントです。
高密度で取得すればするほど、ノイズ点の発生率は高まりノイズ除去に時間を要します。
低密度で複数箇所スキャンすることで全体の点密度を抑えることでノイズ除去の時間も削減すれば、外部委託している場合費用を抑えることが出来る方法にも繋がります。
当社では点群データ取得時からサポート致しますので、過剰に点群を取得しすぎて扱いづらいデータとなることを避けるようなご提案もさせていただきます。
6. クラウドや外部委託を活用した作業効率向上
作業効率をさらに高めるには、クラウドや外部委託の活用が有効です。Autodesk BIM 360などのクラウドプラットフォームにより、複数拠点でモデルを同時に閲覧・編集可能です。
また、点群処理やメッシュ化などの作業を外部委託することで、自社作業負荷を軽減し、本来業務に集中できます。
委託先全てがクラウドプラットフォームを利用しているわけではないため、委託検討の際にはクラウドでの作業進行が可能かどうかも併せて確認される方が良いでしょう。
また複数人で同ファイルに対して同時作業を行う際は、作業者によって判断がブレてしまう可能性があるため、事前に規則を決めた上で作業に取り掛かり手戻りが発生しないように取り組むのも作業効率向上に寄与する一つの手段です。
7. まとめ
BIM/CIMモデルの軽量化・効率化は、精度を維持しつつ作業効率を大幅に改善する重要なプロセスです。
不要データの整理、LODの最適化、リンクや軽量ビュー形式の活用、点群整理、クラウド・外部委託による効率化を組み合わせることで、設計・施工・維持管理の各フェーズで迅速かつ高精度な作業が可能になります。
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